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回復期リハビリテーション病棟でのクリニカルリーズニングの変化に関する論文が掲載されました。

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回復期リハビリテーション病棟は、退院後生活を見据えて、様々な視点から作業療法を行います。その中では、医療職としての客観性の高い視点も持ちつつも、対象者自身のリハビリテーション過程への参加を促したり、動機付けの変化など、対象者の主観性の視点も重要となると、臨床経験的にも感じています。

どちらの視点が優れているかという話ではなく、視点を上手く切り替えたり、使い分けたりしながら、作業療法を柔軟に展開していくというのが、臨床家に求められている思考プロセスだろうと思います。
ここで議論しているのは、臨床家のHow?ではなく、Why?です。

臨床家のWhy?について、リフレクションという概念を用いながら、現在の回復期リハビリテーション病棟の実践での視点について、具体的な事例を通して提示しました。

そんな論文が「作業行動研究」に掲載されましたので、
よろしければ、ご覧ください。
「高齢障害者に対するクリニカルリーズニングの変化~回復期リハビリテーション病棟での作業療法介入の自省~」



第51回日本作業療法学会(東京)で発表します。

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9月22日ー24日に行われる第51回日本作業療法学会で発表します。

ご興味ある方は、ぜひ、よろしくお願いします。

タイトル:回復期リハビリテーション病棟における認知症高齢者の行動・心理症状(BPSD)の対応に関する院内教育活動の試み





また、学会参加では、尺度開発関連を中心に聴講して来たいと思っています。

報告ガイドラインの検索に便利:EQUATOR NetworkのWebサイト

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研究を報告する立場でも、査読する立場でも、ガイドラインがあれば、研究の質を吟味するために手がかりとなります。

研究初学者の自分には、とても参考になりそうな情報を見つけたので、みなさんとシェアします(すでによくご存知の研究者の方々も多いかと思いますが)。





奥村泰之, 赤羽隆文: 蔓延する研究報告の質の問題への総合的対策: 研究の価値を高め無駄を減らす. Monthly IHEP 239: 14-22, 2015.
では、次のように述べられていました。

「研究者は、報告ガイドライン(reporting guideline) に遵守した論文を準備するよう推進されている。報告ガイドラインは、研究者が報告すべき科学的に必要不可欠な情報を規定している。」


すでに、多くの報告ガイドラインが開発され、EQUATOR NetworkのWebサイトから探せるようになっています。 

EQUATOR NetworkのWebサイト

実際にウェブサイトに行くと様々なガイドラインが検索できるようになっています(英語ですが)。

「VQ(意志質問紙)の活用」という勉強会をしました。

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院内(および、グループ内の施設)で、VQ(意志質問紙)の活用に関する勉強会をしました。その備忘録として、一部の内容(あくまで臨床で活用するための個人的な解釈に拠ります)をご紹介します。




なお、本勉強会は、マニュアルを参考にしつつ、個人的な経験と解釈を加えて資料を作成しましたことをご了承ください。

da las Halas CG. Geist R. Kielhofner G(山田孝・訳):意志質問紙法(VQ)改訂第 4 版使用者手引書.日本作業行動学会,東京, 2009.


まず、この勉強会では、VQを知って、自分たちの臨床実践に取り入れていったらよいのではないか、という見立てのもと行われました。

臨床では、回復期リハ病棟であっても、病棟生活をより充実して過ごして頂くために、集団活動プログラムが行われているところもあります。また、マンツーマンであっても、対象者の方の心理・社会的な側面を捉えアプローチしている場面も多々あります。

ですので、「客観性に立脚」した評価に加え、「対象者の主観性に立脚」した評価の両側面から捉える必要があると言われています。




しかし、いざ対象者の主観性を捉えようとしても、どんな視点を持って観察したらよいのかわからないというのもあります。

また、語れない、筆記できない対象者もいらっしゃいます。そんな時に観察型の評価であるVQが役立つと思われます。





また、VQの14の質問項目は、セラピストの観察の目を肥やすのに役立つだろうし、観察したものを言語化して、分析し、他職種や家族などに伝える際にも役立つと思われます。




そして、VQを知ることは、人間の作業行動を知ることでもあると思います。







なぜ、作業歴や生活歴を聞くのか、なぜ作業の環境設定にいちいちこだわるのか。
人間作業モデルのリーズニングに繋がっていくのではないでしょうか。







詳しくは、マニュアルを参照下さい(作業行動学会HP)。↓ http://www.jsrob.org/
また、その他の文献も参考になると思われます。


僕らも学習を続けていきたいと思います。

読んで下さり、ありがとうございます。

訪問作業療法実践の文献研究が掲載されました。

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日本臨床作業療法研究に訪問作業療法実践の文献研究が掲載されました。



丸山祥・高森麻貴・長谷龍太郎:日本の高齢者に対する訪問作業療法実践の文献研究 ―40の事例報告に対する作業療法過程の視点を利用した分析―.日本臨床作業療法研究,4:23−30,2017.
オープンアクセスですので、無料で全文が入手できます。
本研究では、これまでの日本の訪問作業療法の実践報告に対して、作業療法プロセス(過程)の視点を利用した切り口で分析しました。


なお、以下の論文と3点セットで一つの知見を構成しています。
丸山祥・長谷龍太郎・笹田哲:高齢者に対する訪問作業療法における作業療法リーズニング研究-参加観察と半構成的面接を利用した質的研究-.日本臨床作業療法研究,4:13−22,2017.
丸山祥・長谷龍太郎:作業療法リーズニング概念の活用に関する文献研究ー欧米と日本における2005年以前と2006年以降の比較ー.日本臨床作業療法研究3: 39-46, 2016.
「リーズニング」というとなんだか難しそうだと感じるかもしれませんが、日頃の実践で臨床家が行なっている行為の理由づけです。これには、言葉にしやすいものと言葉にしにくいものがあり、特に後者は「暗黙知」などと言われます。
ベテランのセラピストの暗黙知を明らかにすることができれば、新人のセラピストがより早く成長できるかもしれない。
研究のきっかけはこういった疑問からでした。

実際には、研究をする中で後輩であっても、セラピスト個人が、それぞれの工夫をしていることがわかり、非常に参考になりました。こういった工夫は、周りからは一見してわかりにくいもの(しかし、そのセラピストは大事にしていること)であったりします。

先輩方の飲み屋で語られる(?)、臨床で得られた知見を、(きちんと研究の方法論に則り)書いていこうとした、そんな研究です。よろしければ、3点セットでご覧ください。



ご意見、ご質問などあれば、よろしくお願いいたします。



勉強会の参加報告:スタートアップ!人間作業モデル

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僕は今回の勉強会を通して、人間作業モデルは、普段自分たちが取り組んでいる「作業療法」とはなにか?そのルーツにはなにがあるのか?といった作業療法の本質を捉え直す意味でも、とても重要な理論だと改めて学びました。




先週末に「スタートアップ!人間作業モデル」という内容の、臨床実践に役立つ理論研究会主催の勉強会に参加してきましたので、その備忘録として書きます。

人間作業モデルを発表したキールホフナー先生は、作業療法の歴史研究においても論文が評価されていると言われています。
キールホフナーは、トーマス・クーンのパラダイム理論を使って、作業療法の歴史が前パラダイムから作業パラダイム、機械論パラダイム、途中に危機を経つつ、現代のパラダイムに移行していくことを示しました。

ライリーは、作業行動理論を提唱して、その後の人間作業モデルや作業科学へと影響を与えたと言われています。

僕はクリニカルリーズニングに興味があるので、このあたりの歴史は非常に興味深く思いました。

人間作業モデルは、第5版まで出版されています(現時点では日本語版は第4版まで)。 初版の人間作業モデルの日本語版が発刊されてから、約30年が経とうとしています。日本語版のツールもいくつも出版されています。
最近では、人間作業モデルの日本の事例集も出版されました。 理論書とツール、事例本と、これだけの臨床と実践をつなぐ手掛かりが用意されています。


人間作業モデルを起点に、臨床家でいろいろな議論をするのも面白いかもしれないですね。
僕自身も、人間作業モデルの事例報告を初めて投稿しているところで、初学者です。
作業療法士人生に、人間作業モデルがあるというのは、先人たちの哲学を感じ、臨床を考えるためのよいお供になるなと思いました。

最後まで読んで下さりありがとうございました。

Book review:多動力(堀江貴文、2017.5)

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論文やプレゼンが、一区切りした合間をみて、読書するのが好きです。
読みたいなーと思っていた本「多動力」(堀江貴文、2017.5)を読みましたので、ご紹介します。





僕は、堀江さんが出所後に大学でプレゼンをしたり、宇宙ロケットの開発、メディアへの出演など、いろいろと発言をしているのをネットの記事やYoutubeなどで見聞していました。しかし、このように手にとって本を読むのは初めてでした。

実はもう一冊、気になっている本があって「枠を壊して自分を生きる」(石黒浩、2017.4)です。この方はロボット開発に携わっている研究者です。



いずれの本も、著者の「生き方」についての考えが詰まっていると感じたので購入しました(石黒さんの本はいま読んでいるところです)。

「LIFE SHIFT」という本がベストセラーになり、「生産性」や「自分の時間を取り戻そう」といった言葉をよく聞くようになりました。


自分の人生について考えるヒント、それをタレント(傑出した才能の持ち主)に求めていたのかもしれません。



さて、「多動力」ですが、結論から言うと、

「自分の生き方を新鮮な視点で考え直したいと思っている人」にオススメです。

堀江さんの過激な発言は、まさに自己啓発本にぴったりで、納得できる部分もありつつ、煽られ、時に笑えるところもあると言う感じで、読み物として面白かったです。



特に印象的だったのが、「永遠の3歳児たれ」と言うところで、
毎日キラキラした目で、新鮮な毎日を過ごせているのか?

と自分の生活を振り返ったと同時に、

我が家にいる子供たち(7歳児と4歳児)がどんな風に毎日を感じて、過ごしているのか?に着目するようになりました。


僕の基準ですが、こうやって視点をもらえる本は良い本だと思います。素直に買ってよかったです。


堀江さんは、最後に「この本を読んだからといって何も変わっていない」と述べていて、もちろんそうなのですが、僕としては、この本を通して行動するきっかけと視点をもらえたので、とても心が軽くなり、変化を感じています。


おそらく堀江さんのような考え方を貫ける人ってそうそう多くないのではないでしょうか?だからこそ、読んでいて興味深い。

病院に勤務するセラピストは、とかく、組織ルールや倫理観を重要視していますので、こういった発想が知らず知らずのうちにこぼれ落ちてしまっているかもしれません。